小説「赤猫異聞」

       (赤猫とは放火犯、牢獄では火の手が迫った際の解き放ち)
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29日は、京都・大阪で、30日は、練馬区で真夏日となった!
関東に冷夏を引き起こすエルニーニョ現象が観測されたというが、
どうであれ、いよいよ蒸し暑い季節がやってくる。
先ずは長袖から半袖へ、タンスの引き出しを入替えて衣替え。

       (去年、神代植物園で撮影したバラその1)
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浅田次郎の「赤猫異聞」を読み終えたので、午後は図書館に返却だ。
6月に入れば、暑い部屋での読書量は激減するだろう。
幸いに5月中の涼しいうちに、年初に書き出した読書リストをほぼクリアできた。

       (バラその2)
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しかし、12分の5で予定の30冊を読んだぞなんて、恥ずかしい限り。 
つまり、週にたったの1冊程度ということ。
書店のコンシェルジュは年間700冊、
井上ひさし、司馬遼太郎、立花隆は言うに及ばず、
著名な読書家はみな蔵書数万冊を超える。
あ~、知の巨人達に憧れる。

       (バラその3)
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で、「赤猫異聞」。
明治元年の暮れ、公方様から天朝様に入れ替わった維新の混乱時に、
江戸で大火が発生し、伝馬町牢屋敷から囚人が解き放たれた。

その際、最後まで残されたのが三人の重罪人。
賭場の貸元麹屋五兵衛の罪を被って、
身代わりで入牢したのが「任侠の博徒繁松」 

河岸の夜鷹のために、町奉行の側用人で、
私腹を肥やす猪谷権蔵の女になったのが「元締めの莫連お仙」

外国奉行を父に持ち、鳥羽伏見の戦で落ち武者となったが、
死に場を求めてキンギレを斬殺し続けるのが「剣客の辻斬り七之丞」
‌ちなみに、キンギレとは、錦の布を縫い付けた西洋軍服の官兵のこと。

       (再掲載、神代植物園のダリアその1)
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そのとき、同心の一人、丸山小兵衛が思いもよらぬ言動をとったことで、
奉行石出帯刀の下した決定が実に不可思議な内容となる。
解き放ちに当たっての約束は、三人の命は一蓮托生。
三人のうち一人でも戻らねば、戻った者も死罪。三人ともども戻れば無罪放免。
みんながずらかっちまったら、さなる場合は、丸山が腹を切るそうだ。

       (ダリアその2)
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ところで、牢屋敷には、牢奉行石出帯刀とその配下の同心六十人が、
囚人と同様に、江戸市中とは隔絶された状態で、
江戸開府以来二百数十年伝馬町に暮らしている。

一代抱えの分限身分、それでいて手代わりのない牢屋敷同心は、
どう精進しようと、出世も御役替えもない不浄役人として、
務めを果たすよう教えられてきた。
その梲の上がらぬ鍵役同心の一人が、主人公となる丸山小兵衛。

「法は民の父母なり」、それが寺子屋で老師が諭した教え。
世が乱れて法が父母の慈愛を喪うたとき、
その法に携わる者は自らを法と信じて、救われざる者を救わねばならない。

       (小庭の隅っこで妖艶に咲いてる孔雀サボテン見っけ!)
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冤罪を被った三人は、この好機に、意趣返しの敵を討とうと散っていく。
ところが小兵衛は、悉く三人の先回りをして、その敵を斬殺する。
三人は、夢とも現とも分からぬまま、神仏の加護に導かれるように、
或いは、小兵衛の「のう、生きてくれまいか」、
「死に損ねならば死んだ気で生きよ」の声が聞こえたのか、
解き放ちの浅草善慶寺に戻り、無罪放免。
新しき明治の世で、それぞれの才覚をふるい日本を担っていく。

世が乱れたとき、おのれ自身が民の父母にならねばならない。
務めに忠実にならんとすれば、人(小兵衛)は神仏に似るのだろう。

元同僚55号さんのお勧め作家浅田次郎は、
好みではないが、さすがに受賞歴のとおり面白いし巧い。 

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